作・庭野ち草/絵・小林龍夫
ガクン、ガタガタ、ガクン、ガタガタ。
山道を行くトラックがひどくゆれています。
プチッ、ストン。
とつぜん、トラックの荷台のひもがきれ、道のまんなかに、光るものがおちました。
ガタガタ、ガタガタ、ブウン、ブーン。
キラキラした光を残したまま、トラックは走りさって行きました。
「あら、まぁ、たいへんだよぅ」
山ドリのオバサンは羽をバタバタさせながらタヌキのポコポにしらせにきました。
「空がおちていたんだよ、デコボコ山の山道に」
「えっ!そ、そらが、おちていた?」
ポコポはふしぎそうに首をかしげました。
「金色のかざりのついた、それは美しい空だったね。あれはきっと、ゆめの国の空だよ」
その空はきょうの空のように青くて、その空には、白い雲がフワリとういていたと、
オバサンはこうふんしながらポコポにいいました。
「おまけに、私のなかまがその空をとんでいたんだよ。私もびっくりしたけど、むこうもおどろいていたねぇ」
- この記事を書いた人
- 【文・庭野ち草】
1945(昭和20)年生まれ。広告代理店勤務を経て、コピーライターとして独立。
【絵・小林龍夫】
1943(昭和18)年生まれ。ミュージシャン・作曲家。掲載の絵は、茅花舎HP連載用に描き下ろしたもの。