おちそら0_w1000
作・庭野ち草/絵・小林龍夫

「そうかい、私はたしかに私のなかまをみたんだ。でも、あんたのなかまはみなかったよ」
もどってきたポコポの顔を、山ドリのオバサンは、うたがうような目でのぞきこみました。

「ひどいや、うそじゃないってば。オバサンのなかまはいなかったよぅ」

 そこへ、ウサギのピョイがやってきました。

「空が落ちているってぇ? ハハハハ、そんなことあるわけないさ。だって、ホラ、どこもやぶけていないよ」
 ピョイは空を指さしながらわらいました。

「そうじゃないんだ、その空は、金色のかざりのついた、とくべつの空なんだよ」
 ポコポもオバサンも声をそろえていいました。

 ピョイはその空をみにいくことにしました。

この記事を書いた人
【文・庭野ち草】
1945(昭和20)年生まれ。広告代理店勤務を経て、コピーライターとして独立。
 
【絵・小林龍夫】
1943(昭和18)年生まれ。ミュージシャン・作曲家。掲載の絵は、茅花舎HP連載用に描き下ろしたもの。