
作・庭野ち草/絵・小林龍夫
たしかに山道のまんなかに、白い雲がフワリとういている空がありました。
「ほんとだ。わぁ、きれいだなぁ」
おもいきって近づいてみると、その空にはピョイのなかまがいます。

「オバサンやポコポのなかまはいなかったけど、ぼくのなかまがいたよ」
もどってきたピョイは、とくいになっていいました。
「私は、あんたたちがそんなにうそつきだとはおもわなかったよ。もう、北の村や南の村のおもしろい話をしてあげないからね」
オバサンはツンとくちばしを上にむけました。
「ぼく、うそなんかついてないよ」
ポコポもふくらんだおなかをポンとたたくと、くるっとうしろをむきました。
「ぼくこそ、オバサンとポコポを信じないよ。こんやのダンスパーティーには、とてもしょうたいできないね」
ピョイもうしろ足でトンと地面をけるとプイと横をむきました。

「それじゃ、だれの話がほんとうか、いっしょにいってたしかめることにしようよ」
- この記事を書いた人
- 【文・庭野ち草】
1945(昭和20)年生まれ。広告代理店勤務を経て、コピーライターとして独立。
【絵・小林龍夫】
1943(昭和18)年生まれ。ミュージシャン・作曲家。掲載の絵は、茅花舎HP連載用に描き下ろしたもの。
