2022年7月10日、「旭川はれて」(「旭川ここはれて」より改名)がオープンして、2025年2月で2年7か月になりました。お店ではさまざまなイベントも開催しています。今回は、2022年3月後半、料理の試作や食器の決定、お茶の仕入れをお願いする日々を綴っ
ています。

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2022年
3月15日(水)

 雪が降る。
 雪道を近くのローソンまで初めて一人で車を運転する。雪道の運転に慣れなければ。

3月16日(木)

 本日は、11時から15時までアルバイト。
 そろそろ、お店の器も取り揃えなくてはいけない。
 イメージはカジュアル、ポップ。日本茶カフェというと和風もしくはシンプルなデザインが思い浮かぶけれど、なるべくそこから外れたい。カラフルにカジュアルに気軽に入れるカフェにしたい。そんな雰囲気で揃えていきたい。

3月17日(金)

 本日も11時から15時までアルバイト。
 昨日見つけた器をあんみつ用にしようと思う。数が足りないので追加で注文。色は3色にした。カタログから選ぶのもいいのだけれど、なるべく予算を抑えたいし、実物を見て決めた方が早い。
 いろんな器を楽しめるようにしたい。今はわりとスッキリ整ったものが好まれる傾向にあると思うが、ちゃぶ台にさまざまな皿や小鉢が並んでいる昔の日本の食卓のような雰囲気があったかくていいなと思う。お店に来てくださった方が、そんなことを少しでも感じ
取ってくれたらうれしい。

3月18日(土)

 9時、「ときわ市民ホール」調理室で夜のメニューの試作。一度、夜のおつまみメニューをすべて揃えてみることにする。とり茶ハム、豚角煮、大根サラダ、唐揚げ茶ヨネーズ、サラダ、カナッペ、おかかチーズ、カステラトースト。
 アイスクリームのサンプルの手配をメニュー開発担当のFさんに頼む。

↑夜のメニューの試作。お茶を用いたおつまみの魅力を伝えたい

 午後からは、滋賀県甲賀市信楽町上朝宮の「茶城 藤田園」の藤田さんと、滋賀県大津市の「中川誠盛堂茶舗」さんに電話をし、お茶の仕入れの承諾を得る。
「中川誠盛堂茶舗」さんには、絞り出し急須も頼みたい旨を話すと、新たに一人用の絞り出し急須ができたそうで、「これもすごく美味しく入りますよ」と教えてくれた。Webサイトで確かめることにする。
「茶城 藤田園」の藤田さんとの出会いも忘れ難い。滋賀県の朝宮(あさみや)は日本最古の茶産地といわれ、朝宮茶は日本五大銘茶の一つだが、なかなか手に入らない。
”関西地方お茶の旅”(2月5日の日記参照)の時に初めて朝宮を訪れたのだが、どんな所に茶畑があるのかさえよく分からずに車を走らせていた。主要道路を走っていても茶畑がありそうな気配がまったくなく不安になっていると、パートナーが「あそこに入ってみよ
う」と指さしたのが藤田さんのお店「茶城 藤田園」だった。
 お店に入るとお茶がずらりと並んでいて若い男の人が立っていた。朝宮茶のことを知りたいと話しかけると、詳しい人がいるよと店の奥のスペースに腰かけている男性を示した。それが藤田さんだった。
 茶釡が下がった小さな囲炉裏があり、その茶釡から何回か飲んでいる茶葉がはいった蓋なしの急須にお湯をさし、お茶を淹れてくれた。「朝宮のお茶は何度もさしがきいて美味しいよ」と。藤田さんのお話は面白くて、研究者といっても過言でないように思った。

↑日本最古の茶産地といわれる滋賀県の朝宮地区

 パートナーは何年も前から、北海道も暖かくなってきたからお茶を育てられるのではないかと言っていたのだが、その話をすると、「大丈夫だと思うよ、是非挑戦したらいい」「旭川は行ったことあるよ、どのあたり?」 
「そのあたりなら土壌も悪くないと思うからお茶を育てられると思う。ただ、気温マイナス15度の環境に1時間以上置くと負荷がかかり過ぎてダメになるから、それを何とか工夫したらいいよ」
そんなふうに教えてくれた。お茶の苗木は送ってあげるから連絡してと言っていただき、あっという間の2時間だった。いろんな話を聞かせていただき、とても面白かった。

3月23日(木)

  本日は11時から15時までアルバイト。
 アルバイト後に、以前勤めていた「丸山園本店」の社長に電話で仕入れの依頼をする。
見積もりを送っていただくことになった。
 「丸山園本店」社長には旭川に来る前に「ここはれて」に日本茶カフェを出店する話はしてあり、仕入れと一部、丸山園本店の日本茶カフェ「一葉(かずは)」と同じメニューを出すことの了承を得ていた。
 まだ「丸山園本店」の正社員になる前のパートタイマーだったころに、「自分でお店を出すことになったら、是非うちのお茶を使ってください」と言われたことがあった。当時は、自分のカフェをやるなんて遠い夢のような感じで話していたが、実際にお願いするこ
とになり、不思議な気持ちでいる。そしてあらためてご縁というものを感じている。
 器については、今日はランチに使用する丼やお椀類を決定した。

3月24日(金)

  本日も11時から15時、アルバイト。
注文していたあんみつ用の器が届いた。
この日より、「旭川ここはれて」は「旭川はれて」に名称を変更し、「旭川はれて asahikawa_harete」のインスタグラムが開設された。

3月25日(土)

  明日開催される「株式会社ここはれて」主催の合同説明会の準備をする。求人も兼ねてメディア関係にお披露目をするのだという。店舗ごとのブースが作られ、自由にアピールしてくださいとのこと。杉村太蔵さんが言うには、かなりの報道関係者が来るらしい。
 お茶を飲んでもらうのが一番効果的だと考え、水出しのお茶を用意することにした。初めは温かいお茶を出そうと思ったのだが、茶殻の処理や電源の問題が少し難しそうだったので諦めた。「丸山園本店」社員時代の催事を思い出しながら準備をする。

3月26日(日)

「旭川はれて」合同説明会当日。
 朝9時から準備開始とのことなので、9時に会場の旭川トーヨーホテルへ向かう。
 広い会場に25店分のブースが設営され、近辺の店舗以外はかなり遠く離れた場所にある感じがする。今日もパートナーと義母に手伝ってもらう。意外と早く準備は終わった。11時開始のため、いったん会場の外へ出て休憩をとることにする。
 10時ならもうどこか開いているお店があるだろうと思ったが、新型コロナウイルス感染症の影響がまだまだあってホテルのラウンジや喫茶店もやっていなかった。しょうがない、平和通買物公園の方まで歩いてみよう。歩きながら、朝早くから開店している所は
やっぱり少ないのだとあらためて認識する。
 「旭川はれて」のお店を早い時間から開きたいと話をした時に、運営側から「誰も来ない」と言われて諦めたことを思い出した。それでもニーズはあるような気がするのだが、
どうだろうか。「旭川はれて」側は夜の時間帯にお店を開けておきたいという考えがあるようだ。
 
 7条通8丁目に「coffee stand container コーヒースタンドコンテナ」という素敵なカフェを見つける。ここは朝7時30分頃からオープンしていて、けっこうな人数の女性客がテイクアウトで買いに来ていた。
 11時、合同説明会がスタート。16時終了。
全体的にはそれほど来場者は多くはなかったが、予想以上に日本茶に興味を持って人が集まってくれた。試飲も効果があったようだ。みなさん水出し茶の味に感動してるようだった。美味しさが伝わるのはとてもうれしい。
 求人にも4名ほど応募があったが、まだ先のことなのですぐには決定が出来なかった。
取り敢えず連絡先を聞いておく。働く人は必要だけれど、お給料をちゃんと払えるのか少々不安。

↑合同説明会で水出し茶を提供すると、評判がとてもよかった。

3月29日(水)

 深川市の駅前にある「アートホール東洲館」へ行く。ここは深川市の市民団体が運営する美術館。パートナーが美術館長と面会するので、私と義母も同行することにした。
 美術館の前に、道の駅に立ち寄った。階に美味しそうな釡飯のお店があり入ることにする。パートナーは、お店が始まったらあちこちに出掛けられなくなるだろうからと、勉強も兼ねて色々な場所へ連れ出してくれる。
 東洲館の館長さんとお話しする。館長さんには以前も何度かパートナーの写真の展示でお世話になっていて、またこうしてお会いできるのはとてもうれしい。終始笑って過ごした。日本茶カフェにも興味を持たれていて、「美術館の収蔵作品を貸し出すので店内に
飾って」と言ってくれた。ぜひお願いしたい。
 東洲館では館長さんのアイデアで、市民の自宅に収蔵作品の無償貸し出しを行なっている。気に入った作品を自宅で楽しめるのだ。なんて素敵なのでしょう。作品を仕舞い込んでおくのは勿体ないという考え、私もそう思う。
 すべての芸術作品を、とは言わないが、やはり生活の中でもっと芸術に触れることがいいと思う。素敵な器も大事に保管するのではなく、どんどん使うべきだと思う。生活にアートが組み込まれれば自然と心も豊かになる。「生活=暮らし=食」はアートの原点。
この日は、「七ツ星」という人気のお蕎麦屋さんの店主もいらしていて、その方の話もすごく面白くて笑いが絶えなかった。

3月31日(金)

  パートナーが中学生の時にお世話になった先生が、今日で上川郡当麻町の当麻小学校の校長を退職されるという新聞記事を見つけ、小学校へ会いに行く。旭川から当麻町までは車で40分程度。40年ぶりの再会を、二人はとても喜んでいた。そんな瞬間に立ち会うこと
ができて、私もうれしかった。
 夕方「北珈館(ほっこうかん)」へ。デザイナーSさんにデザイン料をお支払いする。
引き続きメニュー表のデザインやショップカードのデザインをお願いする。

この記事を書いた人
【リエゾン ミサ】日本茶専門カフェ店主・日本茶アルティスト

神奈川県藤沢市鵠沼海岸生まれ。多摩美術大学グラフィックデザイン科卒業後、写真家として活動するが、幼い頃から食べることが好きだったため、食の道に転向する。天然酵母パンを伊藤幹雄氏に、紅茶を磯淵猛氏に学ぶ。中国茶「アランチャンティールーム茶語(チャユー)」新宿高島屋店の勤務を経て、株式会社丸山園本店に入社。直営の日本茶専門カフェ「一葉(かずは)」で約10年間運営に携わったのち独立。「LIAISON MISA(リエゾンミサ)」を立ち上げ、お茶の販売と日本茶の魅力を伝える活動を開始。その一環として、2022年7月、北海道・旭川の商業施設「Asahikawa Harete(旭川はれて)」に日本茶CAFE/和風居酒屋 WHIZ by LIAISON MISAを開店した。

Asahikawa Harete(「旭川ここはれて」から名称変更)HP : https://www.asahikawaharete.com
日本茶CAFE/和風居酒屋 WHIZ Instagram:https://www.instagram.com/whiz4188/

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