おちそら0_w1000
作・庭野ち草/絵・小林龍夫

 ポコポはさっそく、おちてきた空をみにいくことにしました。

 デコボコ山の山道に、空がおちているなんていうことは、ポコポにとってはじめてのことでした。

「トラックがジャガイモや魚のひものをおとしていったのは、みたことがあるけどなぁ」

 ポコポは胸をドキドキさせて山道へいそぎます。とちゅうで、ポコポは少しこわくなってきました。そこで、まず、小高い丘の上からそっとみおろしてみました。

 たしかにキラキラと光っているものが山道にみえます。
「あれかな?」
 ちかづいてみると、ほんとうに空がみえたのです。

 ポコポはこわごわのぞいてみました。

「あっ!」

 その空から、ポコポのなかまがこっちをのぞいています。なかまは、ポコポがおどろくと、いっしょにおどろきます。

 それからなんどもなんどものぞいてみたけれど、やっぱり、ポコポのなかまが顔をみせるだけで、オバサンのいった山ドリのなかまはいませんでした。

この記事を書いた人
【文・庭野ち草】
1945(昭和20)年生まれ。広告代理店勤務を経て、コピーライターとして独立。
 
【絵・小林龍夫】
1943(昭和18)年生まれ。ミュージシャン・作曲家。掲載の絵は、茅花舎HP連載用に描き下ろしたもの。